魚の塩焼きって、「何分くらい焼けばちょうどいいの?」と悩んだことはありませんか?
焼きすぎるとパサパサになったり焦げたりするし、逆に早すぎると中まで火が通っていなくて「子どもに食べさせても大丈夫かな…」と不安になりますよね。
レシピ本には、焼き時間は書いてあるけど、種類が違ったり大きさが違ったらどうしたらよいの、と思うこともあると思います。
そこで今回の記事では、実際に小さな魚の代表としてマイワシと中くらいの魚の代表としてマアジを用意して、同じグリルで時間ごとに焼き加減を調べてみました。
その結果を写真付きで紹介しながら、魚の大きさ別にちょうど良く焼ける目安時間をお伝えします。
この記事を読むことで、魚の塩焼きの焼き時間の感覚がつかめると思います。
実験の内容(焼き加減を比べた方法)

今回の焼き加減を比べた方法について、使用した魚の種類・サイズ、調理の条件は以下のとおりです。
魚の種類とサイズ

今回の塩焼きには、小型の魚の代表として「マイワシ」、中型の魚の代表として「マアジ」を使用しました。
詳細は以下のとおりです。
| 種類 | 大きさ(全長) | 重さ | 状態 |
| マアジ | 約25cm | 約200g | 内臓・ウロコ処理済み |
| マイワシ | 約15cm | 約30g | 内臓・ウロコ処理済み |
魚はウロコと内臓を取り、キレイに洗った後、キッチンペーパーでしっかりと水気を取った状態で使用しました。
調理の条件

調理には、一般的な家庭用のガスコンロの片面焼きグリルを使用しました。
加熱は常に中火とし、焼き始めてから経過時間ごとに焼け具合を記録しました。
具体的には、以下の経過時間ごとに観察しました。
加熱開始後、
・オモテ面:3、5、7、9、11、13分
・ウラ面 :3、5、7分
裏返すタイミングは、マアジでは9分、マイワシでは5分加熱後です。
なお、今回は予熱をせず、魚を入れてからグリルの火をつけました。
結果(焼き時間ごとの変化)

ここからが実際に焼いてみた結果になります。
焼き時間ごとに表面と中身の状態を観察していきました。
オモテ面の焼き具合
まずはオモテ面の焼き具合からみていきます。
オモテ面 3分加熱後



オモテ面は、マアジ、マイワシともに乾燥し始め、鮮魚の時の光沢や張りがなくなってきています。
焼き色や焦げ目がつく一歩前の状態です。
中身は、お腹の部分が白くなり始めていますが、まだ中まで火が通っていません。
オモテ面 5分加熱後




表面は、うっすらと焼き色がつき始めました。
マアジでは表面に近い部分は全体的に白く、火が通り始めていますが、中心部はまだ生の状態でした。
一方、マイワシでは、中心部の方も白く、ほぼ火が通っています。
オモテ面 7分加熱後


表面は、マアジ・マイワシともに焼き色がつき香ばしい見た目になりました。
マアジは、背骨沿いの中心部のみ半生ですが、その周りは白く、火が通っていました。
マイワシは、中心部まで火が通っている状態でした。
オモテ面 9分加熱後


マアジでは、しっかり焼き色がつき、見た目も美味しそうな状態になりました。
一方、マイワシでは、焦げ始め、表面がカリッとした様子になっています。
マアジの中心部は、頭側に若干透明感のある半生の部分が残っています。
一方、マイワシでは7分の時点で十分火が通っており、これ以上時間が経つほど、脂や水分がなくなり、パサパサになっていきます。
オモテ面 11分加熱後


マアジでも焦げが出始め、皮もカリっとした様子になってきました。
一方、マイワシでは全体的に焦げが広がり、焼き過ぎの状態になりました。
中身は、マアジでも完全に火が通りました。
オモテ面 13分加熱後


試しに13分まで加熱してみました。
マアジでは11分の時とそこまで大きく変わりませんが、より乾燥した状態で、焦げがやや広がりました。
一方、マイワシでは、黒焦げではありませんが、明らかに焼き過ぎの状態になりました。
ウラ面の焼き具合

次に魚をひっくり返し、ウラ面の焼き具合をみていきます。
先ほどの結果から、オモテ面は、マアジでは9分、マイワシでは5分ぐらいがちょうど良さそうでしたので、それぞれ、その時間加熱したものを裏返し、ウラ面も加熱時間ごとの焼き具合をみていきました。
ちなみに、裏返した時点ではいずれも焼き色はついていなく、片面焼きグリルでは、ウラ面の加熱が不可欠であることがわかります。
ウラ面 3分加熱後



コンロ内も温まっているため、オモテ面より早く焼き色がつき始めました。
マアジは、皮にうっすら光沢が残る状態です。
一方、マイワシは、すでにしっかり焼けたという状態です。
中身は、どちらもしっかり火が通っている状態です。
マイワシは、この時点で完成です。
ウラ面 5分加熱後


マアジも全体的に焼き色がつき、皮がカリッとしています。
中身をみてもしっかり火が通っていました。
マアジも、この時点で完成です。
ウラ面 7分加熱後

試しにもう少し焼き続けてみました。
全体的に焼き色が強まり、部分的に焦げがみられます。
より香ばしく仕上げたい場合にはこの程度が目安です。
焼き時間の目安まとめ

焼き時間の目安のまとめは以下のとおりです。
| 種類 | オモテ面 | ウラ面 | 合計 |
| マアジ | 約9分 | 約5〜7分 | 約14〜16分 |
| マイワシ | 約5分 | 約3分 | 約8分 |
ウラ面に返すタイミングは、中まで完全に火が通る前が理想です。
そうすることで、焼き過ぎによるパサつきを防げます。
焼き時間に影響する条件

今回の結果は、あくまでこの条件下のものですが、条件が変わると結果も変わってきます。
主には「グリルの種類」、「魚の種類・大きさ」、「火力設定」などによって結果は変わります。
グリルの種類
今回使用したのは「片面焼きグリル」です。
一方、「両面焼きグリル」では魚を裏返す必要はなく、両面から同時に焼くため、焼き時間が短縮されます。
一般的には、片面焼きのオモテ面の焼き時間より1〜2分長くするのが目安です(今回の場合、マアジでは10分ぐらい、マイワシでは8分ぐらい)
また、グリルではなく、フライパンで調理する場合もあるかと思います。
フライパンでは主に触れている部分からしか熱が伝わらないため、グリルより1〜3分ぐらい焼き時間が長くなります。
ただ、フタをすれば蒸し焼き状態となり、時間を短縮できます。
魚の種類・大きさ

魚の種類や大きさが変われば焼き時間も変わってきます。
大きさは同じぐらいでも、魚の種類によって、身の厚さや、形、水分量や脂の乗り具合などで少しずつ必要な焼き時間が変わってきます。
また、今回と同じマアジやマイワシを使っていても大きさが変わると焼き時間が変わってきます。
実際、別の日に大体2倍ぐらいの大きさのマイワシでも比べてみましたが、今回より片面で1〜2分ずつ長めに焼く必要がありました。
火力設定
今回は終始「中火」で行いましたが、弱火や強火で焼くことによって焼き時間は当然変わってきます。
また、中火といってもグリルによって出力が異なるため、何度か試してちょうと良い加減を見つけるのが大切です。
あと、この後に解説しますが、失敗しないコツとして、予熱や最初は強火で数分焼くなどを試す場合、焼き時間が変わってきます。
焼き時間を失敗しない3つのコツ

最後に、魚の塩焼きを作る際の、「焼く」という工程について、失敗しないコツをいくつかお伝えします。
予熱をする
今回は、魚を入れる前に火をつけてコンロの中を温めておく「予熱」をしませんでしたが、これをすることで失敗せず美味しい塩焼きに近づきます。
理由は、温度が均一になり焼きムラがなくなる、網に皮がくっつきにくくなる、皮をパリッとさせるなどの効果があるからです。
1〜2分やるだけでも変わってくるのでぜひ試してみてください。
最初は強火で焼く
基本的に塩焼きは、できるだけ短時間で焼く方が良いです。
理由は、時間がかかるほど水分や脂が抜けてジューシーさがなくなりパサパサな状態になるからです。
一方、強火で最後まで焼くと、中まで火が通らない場合があります。
今回は常に中火で焼きましたが、できれば最初の1〜2分は強火で焼いてから中火に変えることによって、よりオモテ面がパリッと焼け身が締まり、水分や脂などの旨みが閉じ込められます。
強火で焼くと、その分オモテ面の焼き時間が短くなりますので、時間の調整が必要になります。
こまめに様子を確認する
失敗しない最大のコツはこまめに様子をチェックすることです。
先ほど説明した色々な条件や、「予熱」「最初は強火」などを行うことによって、火の通り方は異なってきます。
そのため、こまめに様子を見ることで、焦げたり焼けすぎる前に気づくことができます。
一方で、数分おきにチェックするのもなかなか手間がかかると思います。
今回の結果を参考にしてもらい、それぞれの状況に応じて焼き時間を調整してもらえたらと思います。
まとめ
今回の結果をまとめると以下のとおりです。
☆片面焼きグリル、中火(予熱なし)の場合、
・マアジ(中型魚):オモテ約9分、ウラ約5〜7分
・マイワシ(小型魚):オモテ約5分、ウラ約3分
今回の結果は、あくまで、この条件で行った場合の結果になります。
条件が変われば結果も変わるため、基本的には、最後に書いた「こまめに様子を確認」しながら焼くのが大切です。
今回の結果が、今後、塩焼きを作る際に少しでも参考になれば幸いです。
